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GT-R(R35)は、2007年から日産自動車が製造・販売しているノッチバッククーペ型の高級スポーツカーである。日産スポーツモデルの象徴であるスカイラインGT-Rの後継車種である。車両型式としては、C10型スカイラインの初代2000GT-R(PGC/KPGC10型)から6代目に該当するが、このGT-Rはスカイラインシリーズとは全く関係がないモデルである。
エンジンを車両前方に、クラッチ・トランスミッション・トランスファーを車両後方に配置する、世界初の独立型トランスアクスルを採用した「プレミアムミッドシップパッケージ」がとられている。駆動方式はR32型以降のスカイラインGT-Rと同様に4WDとなり、四輪駆動システムにはR32型以降のGT-Rにも採用されているアテーサE-TSの改良版が採用された。
エンジンは、VR38DETT型 3.8L V6 ツインターボエンジンを搭載する。混流生産される量産車であるが、エンジンだけは「匠」の称号を持つ横浜工場の職人が1人1台を手作業で組み立てる。
2016年7月改良型では吸排気抵抗の低減により燃費向上も図られ、同時にシフトチェンジの制御、駆動トルク最適化により燃費を向上させる「SAVE」モードが追加された。2016年7月改良型からは高性能を表現するためにエンジンカバーが赤色に塗装される。2012年モデルでも燃費向上がなされ、2013年モデルでは改良が施され、中回転域のレスポンスおよび高回転域での加速の伸びが向上された。2017年モデルではNISMOモデルに採用されている気筒別点火時期制御の採用により、ノッキングの発生を抑え、燃費を損ねることなく最高出力・最大トルク共に向上した。
最大出力:419kW 570PS(562hp)/6,800rpm 最大トルク:637N·m (65.0kgf·m)/3,300-5,800rpm
トランスミッションは非プラネタリーギア式のGR6Z30A型(通称GR6型)6速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)が搭載され、過去のスカイラインGT-Rとは異なり3ペダル方式のマニュアルトランスミッションは用意されていない。ボルグワーナーの6プレートデュアルクラッチシステムを採用し、1速、3速、5速用と2速、4速、6速用として2つの湿式多板クラッチを備え、最速0.2秒での自動変速が可能である。デュアルクラッチはボルグワーナー製のものが採用されているが、トランスミッション内部は愛知機械工業などの日産グループの企業が製造しており、組み立ては2007年(平成19年)10月より名古屋市港区の愛知機械工業永徳工場で行われる。センターコンソールに配されるセットアップスイッチではトランスミッションのセッティングを変更でき、素早い変速が可能な「R」モード、「ノーマル」モード、滑りやすい路面に合わせた「スノー」モードの3つが選択できる。
横滑り防止装置については日産の従来の「VDC」ではなく、新たに「VDC-R」が採用された。一般車向けのVDCとは異なり「ノーマル」と「オフ」に加え、前後トルク配分を制御する「R」が追加された。このVDC-Rは200km/hを超えても制動ができる能力があり、従来の横滑り防止装置の規格を超越した能力を備えている。このVDCの特性変更はセンターコンソールのセットアップスイッチで行われる。