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アストンマーティンは設立以来イギリスを代表する高級スポーツカーメーカーである。創業以来高価格帯のスポーツカーを中心に生産しており、品質を重視し、美しさを追求する車作りを一貫して手がけている。イギリスでは数少ない民族資本の高級車メーカーであり、1960年代より愛用しているチャールズ3世から皇太子時代にロイヤル・ワラントを授与されている。DBXはアストンマーティン初のSUVである。2021年、F1で使用されるメディカルカーとしてDBXが起用された。ボディにはF1マシンから着想を得たグリーンのリバリーに、ライムグリーンのアクセントが施されている。2023年より、メディカルカーは標準モデルからDBX「707」に置き換えられた。
DBX「707」はDBXの高性能モデルであり、エンジンは「DBX V8」の4L V8ツインターボの改良版で、ボールベアリングターボチャージャーを採用するとともに専用のキャリブレーションを実施。ベース車を157 PS上回る707 PSの最高出力と、200 N・m上回る900 N・mの最大トルクを実現した。変速機には、既存のトルコン式ATに替えて湿式の9段デュアルクラッチ式ATを搭載。この変速機は従来のものよりトルク伝達容量が大きいだけでなく、より素早い変速が可能で、またシフトフィールも改善。駆動系では、900 N・mの大トルクに耐えられるよう新型の電子制御式リアデファレンシャル(e-diff)を採用。最終減速比もDBX V8の3.07から3.27にローギアード化しており、先述のエンジンやトランスミッションとも相まって、DBX707は0-100 km/h加速が3.3秒、最高速が310km/hという高い動力性能を実現している。
高性能SUVといえば、これまではランボルギーニ「ウルス」、ベントレー「ベンテイガ・スピード」、ポルシェ「カイエン・カイエン・ターボS E-ハイブリッド」の3台がその代表選手だったが、DBX707の最高出力は707psで、ウルスの650psだけでなくカイエン・ターボS E-ハイブリッドのシステム出力である680psさえ上まわる。
いっぽうで3.3秒の0-100km/h加速はウルスの3.6秒を凌ぎ、310km/hの最高速度はこれまで「史上最速のSUV」とされてきたベンテイガ・スピードの306km/hを破るもの。少なくとも数字で見る限り、DBX707はSUV界で無敵だ。